蟷螂の虚空摑みしまま枯るる
のっそりと長夜時計の打ち了んぬ
スプーンを捻る寒波の過ぎゆけり
寒木瓜の浅き夢みし酔ひもせず
青木の実血縁孤児を近づけぬ
植え込みにつく包装紙寒椿
百代の過客入れ替ふ去年今年
寒木瓜の六道なれば咲き誇る
母の声が弾む電話の除夜の鐘
宝船ねずみ舳先に構へたる
寒昴更けてパズルのぴたり合ふ
雪残る駅の時計は母の顔
後の無き異動の内示薄氷
篝火とならぬ一弁シクラメン
啓蟄や百畝湯気を溢れしむ
四・五本は鉄塔揺れて陽炎へる
赤茶けて鉄柱立てり潮まねき
無造作に積む解体車花馬酔木
武甲嶺へ向けて水切り鮎日記
頭を上げて公園の緑吸ひに行く
涼しき灯こぼす小窓にかぐや姫
紅蓮を家鴨水掻くとも見へず
殺生せぬは曽っての盆会魚釣れり
菩提樹に残りし蟬の小振りなる
丘に出てあきつの群にぶつかりぬ
楊貴妃の袖絡ませて雁来紅
のっそりと長夜時計の打ち了んぬ
スプーンを捻る寒波の過ぎゆけり
寒木瓜の浅き夢みし酔ひもせず
青木の実血縁孤児を近づけぬ
植え込みにつく包装紙寒椿
百代の過客入れ替ふ去年今年
寒木瓜の六道なれば咲き誇る
母の声が弾む電話の除夜の鐘
宝船ねずみ舳先に構へたる
寒昴更けてパズルのぴたり合ふ
雪残る駅の時計は母の顔
後の無き異動の内示薄氷
篝火とならぬ一弁シクラメン
啓蟄や百畝湯気を溢れしむ
四・五本は鉄塔揺れて陽炎へる
赤茶けて鉄柱立てり潮まねき
無造作に積む解体車花馬酔木
武甲嶺へ向けて水切り鮎日記
頭を上げて公園の緑吸ひに行く
涼しき灯こぼす小窓にかぐや姫
紅蓮を家鴨水掻くとも見へず
殺生せぬは曽っての盆会魚釣れり
菩提樹に残りし蟬の小振りなる
丘に出てあきつの群にぶつかりぬ
楊貴妃の袖絡ませて雁来紅